2015年6月3日水曜日

文化と経済を破壊する禁煙ファシズム

英国パブ文化の救世主なるか? 伝統制度廃止とビール新潮流


【AFP=時事】英国で数百年間にわたって続いてきたパブ業界の商慣習を廃止する法案が3月に成立した。
伝統的なパブは、新法によって国内で芽生え始めたビール再興が一段と活気づき、深刻な経営危機から脱出できることを期待している。

英国のパブ激減原因は増税禁煙化

 英国のパブの経営難は毎週、数十店舗が閉鎖に追い込まれるほど深刻だ。
スーパーとの価格競争に禁煙法の施行、より健康に配慮した飲酒習慣への変化などが重なり、サッカーやフィッシュ&チップスと並ぶ英国の伝統文化といえるパブの減少に拍車がかかっている。

 街の中心部は今でも週末の夜になると酒飲みたちがたむろするが、公式の統計では、アルコール消費量は2004年以降約18%減少し、若者の間では飲んで大騒ぎする機会も減っている。
英国の伝統的なパブの保存運動をしている消費者団体カムラ(CAMRA、Campaign for Real Ale)によると「パブは今、かつてないほどの脅威にさらされて」おり、毎週29店舗が閉鎖を余儀なくされている。

 こうした中、客たちの嗜好の変化にもパブは合わせようとしている。
例えば最近では量をたくさん飲むよりも、質の良いビールをちびちび飲む方が好まれ、地ビールの人気が高い。
しかし、こうして適応しようとするパブたちも大きな壁にぶち当たっている。

■歴史的商習慣、撤廃の行方は? 

 英国では数百年前から、ビール醸造元大手数社が支配する「パブ・カンパニーズ(Pub Companies)」(パブコ、Pubco)と呼ばれる制度があり、パブが売ることができるビールを指定してきた。
英国のパブの約半数は今もこのパブコの系列だ。

 巨大なパブコを代表する英国ビール・パブ協会(British Beer & Pub Association)のブリジッド・シモンズ(Brigid Simmonds)会長はAFPの取材に対し、パブコの系列制度によって、パブの経営コストと販売価格は低く抑えられていると話した。

  だが、この伝統的な商慣習の廃止を求める人々はパブコの主張を認めず、長年にわたって運動を展開。
今年3月に歴史的な勝利を収め、パブコの系列制度を撤廃する法案が成立した。

 ロンドン(London)南部にあるパブ「イーグル・エール・ハウス(Eagle Ale House)」の共同経営者で、パブコ廃止を訴えてきたサイモン・クラーク(Simon Clarke)さんは、新法によって、パブの経営側はパブコを通じてビールを購入する必要がなくなり、選択肢が広がる上、コストも削減できると述べた。

■廃線の高架下に、地ビール醸造所エリア誕生

 小規模の醸造所はすでに消費者の嗜好の変化にうまく乗じ、醸造所立ち上げの申請も過去5年で3倍に増えている。
ロンドン南西部バーモンジー(Bermondsey)地区では、廃線となった鉄道の高架下に若手起業家たちが飛びつき、最先端のビール醸造所が集まる「バーモンジー・ビール・マイル(Bermondsey Beer Mile)」と呼ばれる流行地区に変身させた。

 最近ここで誕生した醸造所「UBREW」はあらゆるレベルの醸造者に、ビール製造設備を共同利用して自前のビールを造るチャンスを提供している。
UBREWの共同創設者、ウィルフ・ホースフォール(Wilf Horsfall)さんは「20年前、ロンドンの食べ物といえば、ひどい評判だったけれど、今では欧州の中でも刺激的な食のスポットになった。ビールにも同じことが起こると思う」と話した。

「昔に比べて皆、酔うためではなく楽しむために飲むようになった。アルコールが入っていることは楽しみの一つだけど、それがすべてとはならない。ビールの『ワイン化』が起きている。ワインについてブドウの品種や産地の違いを語ってきたようなことが、ビールにも今、起こってるんだ」(ホースフォールさん)

 ビール・ライターで、CAMRAのメンバーでもあるロジャー・プロッツ(Roger Protz)さんによると、こうした新たな動きは、多国籍醸造企業に対抗する面もあるという。
プロッツ氏は「世界的なメーカーが工場で利益のためだけに造ったビールが、あまりに長い間、飲まれてきた。
今、人々が求めているものはただ一つ、それは風味だ」と語った。


【翻訳編集】 AFPBB News 6月2日(火)20時43分配信


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150602-00000040-jij_afp-int

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